メリノウール・ベースレイヤーVSカシミア混・ラクダの肌着

1、冬のベースレイヤー

長年バイクに乗ってきたこともあり、肌着の重要さは身に染みている。
極短な話、アウターよりも、肌着の方が重要であるとさえ思っている。
だから、散々いろいろな商品を試してきたし、いまでも毎年新しい肌着を購入している。

gunzeラクダシャツ画像

そんなクローゼットクロージングがタイムリーに購入したのが公冠グンゼのラクダシャツだ。
公冠という歴史ある繊維会社を、グンゼが子会社にしたことで誕生したブランドである。

メリノウール・ベースレイヤーVSラクダシャツ

21世紀になり、アウトドア業界を中心にウールが再注目されている。
ニュージーランド発のメリノウールを使い、ベースレイヤーを専業として扱うブランド「スマートウール・アイベックス・アイスブレーカー」などのメーカーは、アウトドアファッションの垣根を越えてその評価を高めている。

対する公冠グンゼのラクダは、カシミヤを30%配する高級仕様でありながら、いまひとつパッとしない。それどころか、ババシャツ・ジジシャツの蔑称で呼ばれるほどの評価の低さだ。

ではラクダシャツが使えないベースレイヤーかといえば、そうではない。

2、ラクダのディテール

短所

鎖編みの網目は、ベースレイヤーというよりも、ニットセーターそのものだ。
これでは、吸湿性や肌触りはワンランク落ちてしまい、蒸散性も十全には発揮できない。
その上、甘撚りの生地は毛玉の原因になりやすく、摩耗にも強くはない。洗濯をするたびに痩せていく生地は、ベースレイヤーとしてはハッキリ言って落第である。

長所

ただ、悪いことばかりではなく、長所と短所はまさに一長一短表裏一体だ。

随所に日本製の生真面目なディテールが見て取れる。バータック補強や、綿テープでの補強、縫製レベルの緻密さ。フィット感のよい長いリブ。3本針で丁寧に紡がれたフラットシームなどなど、まるでレプリカウェアのような贅沢な作りが随所に散見できる。Made in japanの面目躍如、いぶし銀の魅力が燦々と輝いている。

前開きのボタン仕様は、いわゆるヘンリーネック。
ヘンリーネックの名門、米国のヘルスニットよろしく、クラシックな仕様なのだ。

グンゼラクダシャツ画像
クラシックなヘンリーネック

3、ロストテクノロジー

新しいものばかりが最良ではない。
オールドスクールと呼ばれるものにも、たしかな実力派は潜んでいる。

数々のベースレイヤーを試し、穴が開くまで使ってきた経験からいうと、良質な素材と工程を経て作られたものは、最新の技術にも負けない魅力を持っている。
ハイブリッドカーではなくキャブ車に独特の乗り心地があるように、衣服でも独自の着心地というものは存在する。

4、メリノウールの長所

メリノウールは優れた素材だ。
調湿性、調温性、消臭性、分子レベルで素材開発が進んだ現代でさえ、ウールの優位性は揺るがない。ウールの長所を活かしながら、速乾性やより高度な調温性を付加するために、ハイテクポリエステルやアウトラストなどのアクリル素材をブレンドし、各メーカーはより次元の高いベースレイヤーを開発しリリースしている。

編み方、素材のブレンド比率、羊毛の種類、表面加工。
研究開発の結果、ウールの肌着は、アウトドア・ベースレイヤーとして最良の選択の一つとなっている。

それらに比べれば公冠グンゼのラクダシャツは、目新しさはない。あえて同じ表現を使わせてもらうならば、古色蒼然としたオールドスクールに他ならない。

5、新旧は対決しない

新しいものだけが全てではない。
源流を知ってこそ、最新の道具のメリットを実感できるだろう。
そのためには原点であるラクダを着ることも、酔狂ではないはずだ。
ウールファンにとっては興味深い、比較実験なのである。

ウールの肌着は機能的であり、一枚着るだけでポカポカ暖かい。
底冷えする冬の朝だってへっちゃら。薄着で出掛けられる温もり&軽快さを持っている。
一度着用すると手放せなくなる魅力が満載の肌着なのである。

gunzeラクダシャツ画像
着丈は長いが、袖丈は9分丈。カシミヤが入ることによりふんわり暖かい。
イギリスのアンダーウェアや、米軍のセーターにはラクダシャツそっくりなものがある。

これはクラシックというんだ。

最新のメリノウールのベースレイヤーに混ざって、古典主義のラクダシャツが仲間入りした。
木の葉が舞い、渡り鳥が飛鳥する季節はもうすぐやってくるだろう。
冬支度は万端。この冬は、ラクダのシャツが大活躍する予感がしている。

公冠グンゼ カシミヤ入りラクダシャツ 約¥8,000円 日本製
―2018-10-05―

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